• 信心銘 (1) 「至道無難 唯嫌揀擇」
    (原文)至道無難 唯嫌揀擇 但莫憎愛 洞然明白毫釐有差 天地懸隔 欲得現前 莫存順逆違順相爭 是為心病 不識玄旨 徒勞念靜圓同大虚 無欠無餘 良由取捨 所以不如(読み下し)(私訳)究極の道に、難しいことは何もない。ただえり好みを嫌うだけだ。ただ「これが良い」とか「これは嫌だ」ということがなければ、(大道は)カラッとして明らかだ。そこに毛ほども「差」(分別)を生じれば、たちまち天と地ほどはるか隔たってしまう。現...
  • 信心銘 (2) 「絶言絶慮 無処不通」
    (原文) 莫逐有縁 勿住空忍 一種平懷 泯然自盡止動歸止 止更彌動 唯滯兩邊 寧知一種一種不通 兩處失功 遣有沒有 從空背空多言多慮 轉不相應 絶言絶慮 無處不通(読み下し)(私訳)「もの」を認めて、その因縁を追ってはいけない。「もの」などないといって、「空=ない」を認めたところに住してもいけない。一種(ものとひとつ)のそのままの様子でおれば、「もの」も「空」も、自ずから尽きてしまう。動を止めて、...
  • 信心銘 (3) 「返照」 ~万法に照らされる~
    (原文) 歸根得旨 隨照失宗 須臾返照 勝卻前空前空轉變 皆由妄見 不用求真 唯須息見二見不住 慎勿追尋 纔有是非 紛然失心(読み下し)(私訳)「根=もとの様子」に帰れば玄旨(肝心なところ)を得、(対象を)認識して分かったことに従えば大事なところを失う。「根=もとの様子」に少しでも教わるならば、空だと分かったつもりになっていたものなど超越してしまう。わかったつもりの「空」が、あれやこれや変化するの...
  • 信心銘 (4) 「一心生ぜざる」時節 ~心身脱落、脱落心身の「両段を知る」~
    (原文)二由一有 一亦莫守 一心不生 萬法無咎無咎無法 不生不心 能隨境滅 境逐能沈境由能境 能由境能 欲知兩段 元是一空一空同兩 齊含萬象 不見精粗 寧有偏黨(読み下し)(注)万法: 「法」は、サンスクリット語の「ダルマ」、あるいはパーリ語の「ダンマ」の漢訳。「ダルマ」には、「真実」「教え」「法則」など多様な意味がある。ここでいう「法」とは、「諸法無我」の「法」と同義で、一切の「現象」の意。(私...
  • 信心銘 (5) 「放てば自然(じねん)」
    (原文)大道體寬 無難無易 小見狐疑 轉急轉遲 執之失度 必入邪路 放之自然 體無去住 任性合道 逍遙絶惱 繫念乖真 昏沈不好不好勞神 何用疏親(読み下し)(私訳)大いなる道は、実にくつろいだものとしてあり、難しいということはなく、易しいということもない。しかし視野の狭い者は、これを疑い怪しむ。急げば急ぐほどに、ますますその歩みは遅くなる。これに執着すれば節度を失い、必ず邪路(=不幸な道)に入って...