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キサーゴータミーさんの話

お釈迦様がある村を通りかかったときのこと。村の長老が相談を持ちかけた。

「かわいそうな女がおります。どうかあなたのお力で彼女をお助けください。その女というのは、死んだ子供をいつも抱いているのです。その子は生まれてまもなく死んでしまったのですが、彼女はそれを認めようとしません。ただ眠っているだけだというのです。村のみんなで説得するのですが、どうにも耳を貸してくれません。お助けください」

お釈迦様はその女に会った。

「かわいい子だ。よく眠っているね」

女はうれしそうにうなずいた。

「でもね、私、困っているんですよ」

「ほう?」

「この子なかなか目を覚まさないんですの。だから村のみんなは、この子はもう死んでいるなんてことを言うんですよ」

「それは困ったね」

「聞けばあなたはおえらいお方とのこと。この子を起こすよい方法をご存じないですか?」

「ひとつだけありますよ、よい方法が」

女は目を輝かせた。

「どんなことでもしますか?」

女は大きくうなずいた。

「それでは、3日以内に、この村でまだお葬式を出したことのない家を見つけて、その家の庭にある木を一本切り取り、それを灰にして、この子にかけてやりなさい。そうすればこの子はすぐに目を覚ますことでしょう」

女は大変よろこんだ。

3日後、女は再びお釈迦様のところへ出向いていった。そして目に涙を浮かべ、手を合わせたのである。

「この子はもう死んでおります。この子が成仏できますよう、あなた様のお力をお貸しくださいませ」

(注:この古い村では、葬式を出したことのない家など一軒もなかった。女は指示に従ううちに、「人の死」を受け入れていくように変わっていったのである)

東豊 『セラピスト入門』より>

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マインドフルネス、森田療法、仏教、禅と精神医学

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