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芭蕉の拄杖

お釈迦様は悟っているのかいないのか?

キサーゴータミーさんの話。死んだ子を「よく眠っているね」とは嘘ではないか。

不妄語戒を犯した釈迦は、悟っていない。

(わかりやすく表現すると多くが失われるが、あえて言うと)悟っていない者に、悟っていない者としても、対応できるのが悟った者である。

杖無き者からは、杖を奪うのである。

「眠ってるんじゃない、死んでるんだよ。死んだ者は生き返らないんだよ。だから前を向いて…」

とか言うのは、眠っている者の言い草で、これを「杖無き者に、杖を与える」と言うのである。

「釈迦は悟っているのか、悟っていないのか?」→「お前は悟っていない」

「風が動いているのか、旗が動いているのか?」→「お前の心が動いている」

杖があるならば杖を与え、杖がなければ杖を奪う。それが本来の面目たる杖のハタラキだ。

本来の面目たる杖のハタラキは、与えもすれば奪いもし、それでいて、与えもしなければ奪いもしない。

難思、難思。
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キサーゴータミーさんの話

お釈迦様がある村を通りかかったときのこと。村の長老が相談を持ちかけた。

「かわいそうな女がおります。どうかあなたのお力で彼女をお助けください。その女というのは、死んだ子供をいつも抱いているのです。その子は生まれてまもなく死んでしまったのですが、彼女はそれを認めようとしません。ただ眠っているだけだというのです。村のみんなで説得するのですが、どうにも耳を貸してくれません。お助けください」

お釈迦様はその女に会った。

「かわいい子だ。よく眠っているね」

女はうれしそうにうなずいた。

「でもね、私、困っているんですよ」

「ほう?」

「この子なかなか目を覚まさないんですの。だから村のみんなは、この子はもう死んでいるなんてことを言うんですよ」

「それは困ったね」

「聞けばあなたはおえらいお方とのこと。この子を起こすよい方法をご存じないですか?」

「ひとつだけありますよ、よい方法が」

女は目を輝かせた。

「どんなことでもしますか?」

女は大きくうなずいた。

「それでは、3日以内に、この村でまだお葬式を出したことのない家を見つけて、その家の庭にある木を一本切り取り、それを灰にして、この子にかけてやりなさい。そうすればこの子はすぐに目を覚ますことでしょう」

女は大変よろこんだ。

3日後、女は再びお釈迦様のところへ出向いていった。そして目に涙を浮かべ、手を合わせたのである。

「この子はもう死んでおります。この子が成仏できますよう、あなた様のお力をお貸しくださいませ」

(注:この古い村では、葬式を出したことのない家など一軒もなかった。女は指示に従ううちに、「人の死」を受け入れていくように変わっていったのである)

東豊 『セラピスト入門』より>

お釈迦様の悟りの内容

仏陀の悟りの内容を一言で言うと、

「ああ」

だ。

それ以上の「説明」は、

「ああ」

を前にしてはうるさすぎる。

しかし、そのように示しても、「自覚」が起こるまでは、「人」にはさっぱりわからない。

それで古今東西、「月」を指し示す「指」が、星の数ほど立てられている。

「大道」は、目の前にあるが、近すぎて「人」には認識できない。
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kugla

Author:kugla
マインドフルネス、森田療法、仏教、禅と精神医学

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